直面する具体的な事例を紹介

多数のベンダーが関与するプロジェクトの中で、エンジニアのベンダーコントロールの具体的な事例を見ていきましょう。

数社のベンダーが共同でモバイルアプリを開発するプロジェクトがありました。あるベンダー(A社)から、現行の仕様に基づいてはプロジェクトの目標を満たせないという問題が提出されます。そのため、仕様の再調整が求められていました。このような状況では、一見、次の手順はプロジェクトの全体的なスケジュールやコストに見合うように仕様を調整することかもしれません。しかし、それ以前に、その再調整がA社以外のベンダーに影響を及ぼさないかを検討しなければならないのです。

検討した結果、この仕様の再調整は、B社とC社の実装にも影響を及ぼすことが判明。そこで、代替仕様の提案だけでなく、その代替仕様を採用した場合の品質、コスト、納期への影響もベンダーに示しました。次に、各社から提出された代替仕様案をまとめ、影響が最小限になる案を暫定的に採用してから、その案をクライアントに説明するという手順を踏んだのです。多数のベンダーが関与するプロジェクトでは、仕様の調整やスケジュールの調整がよく発生します。一つのベンダーから仕様の調整等を受けた場合、最初に確認するべきはその問題がほかのベンダーにも影響を及ぼすかどうかです。

もしA社とだけ仕様を調整し、その結果、B社にも影響があることが後から判明した場合、結果的に大きな修正が必要になることがあります。そのため、影響の範囲を正確に把握するためには、プロジェクトに関係する全ベンダーを巻き込む可能性を理解しておくことが重要です。